「変な家」 久しぶりの読書
久しぶりの読書
タイトル 「変な家」
作者 「雨穴」
本書の作者である「雨穴」さんは
少し不気味でミステリアスな動画をアップされている、不思議系YouTuber
紙粘土で作ったと思しき白い仮面と、全身黒タイツがトレードマークだ
声はボイスチェンジャーで変えているが、語り口調は始終丁寧語なので、不気味さは薄れているように感じる
見た目は怪しさ満載だが、不可解なものには戸惑ったり、不条理なものには悲しみを滲ませたり、時折のぞく人間味がまた面白い
本書は、そんな雨穴チャンネルでもっとも再生回数が多く(このブログを書いている時点で836万回)反響があったと思われる動画
「不動産ミステリー 変な家」の続編にあたる書籍だ
約6万字で書き下ろされたというボリュームで、告知動画では、無機質な雨穴さんからも、並々ならぬ情熱が伝わってきた
物語は全4章構成で、タイトルにある「変な家」の間取りは、3種類登場する
第1章は動画を文字起こししたような内容なので、動画を未視聴でも楽しめる1冊となっている。
雨穴さんの前に現れた1枚の奇妙な間取りから、話はどんどん様相を変え、入り口からは全く想像も付かないような結末を迎えた
恐ろしくも、悲しく切ないその物語は、ぜひご自分の目で確かめてほしい
さて、久々に読書ができたその理由は、話の面白さももちろんあるが
「全編通して、シナリオ形式で話が進んでいく」
というところが、圧倒的な読みやすさの理由だろう
文字も大きく、全体としては2時間ほどで読み終える事ができた
またページは登場人物の台詞と場の説明(ト書き)、間取りなどの資料で構成され
風景描写も心理描写も、全て筆者(=雨穴さん)の一人語りなのだ
ホラードキュメンタリーといったところだろうか。
雨穴さんの本業はホラーシナリオライターとの事なので、さぞ本領発揮だったに違いない
「変な家」はひとまず完結といった雰囲気だったが、ぜひ第2弾、第3弾と期待したいところだ
夏はもうすぐ終わるが、ホラー映画を1本観るくらいのつもりで、読んでみるのもいいかもしれない
最新技術を駆使したホラー映画も怖いが、活字で読み自分の脳内で再生される、怖い想像には敵わない
と、自分は思う
いずれ動画(YouTube)で再編集と言うのも楽しみかとも思う